看護学校に入学
3月31日で仕事を辞め、4月1日から私の新しい生活が始まった。入学式は確か6日くらいだったか。それまで休みだったが、私はさっそく近くの病院で看護助手の仕事を見つけ、アルバイトを始めたのだ。助手の仕事をすれば、看護師の勉強になると思ったのだ。それにこれから3年間の学費も稼がなくてはならない。いくら貯金があっても、貯金だけでは足りなくなる可能性があるからだ。このバイトは結局、看護学校2年の実習が始まるまで続けた。
アルバイトの助手の仕事はとにかく体力勝負であった。私がアルバイトで入った病院では、看護師の人数が足りないらしく、患者さんの体を拭いたりすることや、おむつ交換、食事介助などは助手の仕事であった。これらの経験は体力的にはきつかったが、実際看護学校に入ってからだけでなく、看護師になってからもとても役に立った。
また、そこの病院の看護師さんたちは、私が看護学生ということで、ちょっとした処置などに立ち合わせてくれたり、色々なアドバイスをくれたりと、とても親切な人ばかりであった。そしてこの時、私にはできないことをてきぱきとやっている看護師さんがとてもまぶしく見えたことを、今でもよく覚えている。
そしていよいよ入学式。晴れやかな気持ちでこの日を迎えた。実際入学してみると、私のような遠回り組(高校卒業してすぐではない人)はちらほらいた。私の学年は100人近くいたが、その中で10人弱がそのような遠回り組であった。中には子どもがいる主婦の方もいた。いやはや、まったく頭が下がる思いがした。
こうして私の第二の学生生活が始まった。久しぶりの学生生活はとても新鮮で、うきうきした。しかも自分が初めてやりたいと思って入った学校である。勉強にもとても身が入った。ここでまた気がついたのだが、人間本当にやりたいと思ったことは、けっこう大変なことでもあまり苦痛は感じないで頑張れる、ということであった。
私は社会保険労務士になりたかった時、同じく社会保険労務士の国家試験を受けるための勉強をしていた。しかし、その時の勉強はどうにも苦痛でしょうがなかった。法律の勉強がほとんどで、高いお金を出して通信教育を受けたが、参考書のページを開いて勉強しだすと、数分もしないうちに眠くなってしまうのである。とにかく面白くなく、勉強することが苦痛であった。
そんなことだから、いくら勉強しても内容が頭にちっとも入らなかった。実際に国家試験も受験してみたが、案の定、試験が始まるとすぐに眠くなってしまい、ほとんど居眠りで終わってしまったという、なんとも情けない結末であった。
しかし、看護学校に入学してからの私は違った。とにかく授業が楽しいのだ(もちろんつまらない授業も一部あったが)。学校内で実施される試験の勉強も必死にやった。この3年間の私の勉強量はすごかった。寝る時間が少なくて辛かったけど、それでもそれほど苦痛ではなかったのである。
人間、自分に向いていることややりたいことをやると、こうも違うのかと、つくづく実感したのである。とにかく、看護学校に入ってからの私は、毎日が充実していた。
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