看護学校受験
いざ、受験勉強を始めてみると、思ったよりも楽しいことに気がついた。私の受験勉強のやり方は、本屋さんで見つけた色々な看護学校の過去問がのっている問題集を買ってきて、ひたすらやる、といったものだった。英語と国語にしぼって勉強したが、もともと英語の勉強は好きだったので、苦にはならなかった。いや、むしろ輝かしい未来に向けての勉強だったので、久しぶりの勉強の新鮮さも加わり、かなり頑張れたのである。こうして私の猛烈な受験勉強が始まっていった。
この看護学校受験を通して、初めてわかったのだが、私は自分のやりたいことであれば、ひたすら頑張れる性格だったようだ。仕事をしながらだったけど、休みの日などを使い、猛烈に勉強をした。自分のその集中力に自分でもびっくりしたほどだ。時々仕事が暇な時などは、有給休暇をもらったりしながら私の受験勉強は続いた。最初は2年計画、と思っていた受験勉強も、いつしか一度で受かりたいという思いにもなっていた。
そしてあっという間に2月。結局仕事はやめられず、受験の日を向かえた。地元の学校は新設校ということもあり、定員より確か3名くらいオーバーしただけの受験者数だった。ここならもしかしたら受かるかもしれない、と期待しながら受けた。しかし、なにぶん数年ぶりの勉強である。現役の高校生にくらべたら不利このうえない。とにかく、今までの頑張りをテストにぶつけた。
そして本命の県立の学校の受験の日がきた。県立で学費が安く、学校の質としてもなかなか評判の良い学校だけある。やはり倍率は高かった。しかも県内どころか日本中から受験生は来ている。当たり前だが、ほとんどが現役の高校生だ。きゃぴきゃぴの女子高校生にスーツ姿で混ざって受験した。どのくらいの倍率だか忘れたが、これだけ高かったら多分無理だろう、と半分あきらめて受験した。面接もあり、教官に「失礼ですが、なぜあなたはこの年になって看護学校を受けようとしたのですか?」と当然と言えば当然の質問をされた。
待ってましたとばかりに私は、「社会保険労務士事務所に勤めていて、顧問先の従業員の健康保険などの手続きをしているうちに、病気になったことがきっかけで仕事を長く休職するのを余儀なくされる人を多くみているうちに、健康の大切さを思い知った。看護師になって、病気の予防に関する知識を身に付けたい」ということを話した。これも本当の理由である。社会人として働いている時、健康の大切さをしみじみ感じたのだ。いくら昨日まで健康に働いていても、病気になったり事故にあったりして休職を余儀なくされると、それだけで、生活に影響がでてきてしまうのを何度も見てきたのだ。病気の予防の大切さをいやというほど思い知ったのだ。この頃から、私の予防医学への興味は生まれていた。
これらの思いに、先生方は納得してくれたのだろうか。筆記試験の成績もどうにか良かったらしく、信じられないことに、私は受験校2校両方とも無事に合格したのであった!!
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